2011年10月6日木曜日

らんぶる

10月5日(木)

昨日のお休みは、高校時代の友人と恩師に会ってきました。
友人とは一年ぶり、恩師とは十年ぶりぐらいの再会でしょうか。

先生の行きつけの店という、新宿の「らんぶる」という喫茶店でお話をしました。
このお店、昭和の時代からの名曲喫茶の名店で、私も名前だけは知っていましたが、入ったのは初めてでした(夫は昔、新宿でサラリーマンをしていたときに行ったことがあると言っていました)。

一階はどうってことない「普通の」喫茶店という感じでした。
「普通の」と言っても、喫茶店全盛の時代を知っている私にとっての「普通」であって、今の若い人なら十分レトロ感を味わうことができるかもしれません。
先生が、
「地下に行こう。地下は広いんだよ。」
とおっしゃるので入ってすぐ左にあった階段を降りていきました。そこは、さらに懐かしい雰囲気の漂う空間でした。
地下が二階建てになっていて、赤い椅子とシャンデリアとクラシック音楽で、お客さんを外界から一気に切り離し、緊張から解いていってくれるような感じです。

そこで私たちは三十余年の年月を徐々に解凍させ、遡ったり戻ったりと、時間を自由に行き来しました。それぞれの記憶を語っているうちに、忘れていたこともたくさん思い出し、封印していた当時の(主に思春期にありがちな微妙な)心情を披露し合い、今ではそんな、揺れ動いていた自分たちを、客観的に暖かいまなざしで観ることができるようになっている自分たちを発見しました。

「らんぶる」とは「琥珀(こはく)」という意味だそうです。琥珀は、植物の樹脂などが地中で長い時間かかって化石化したもの。
私たちの高校時代も、長い時を経て、なめらかでつややかな人生の装飾品になっていたようです。
心の引き出しの中に大事にしまっておきましょう。
ときどきとりだして見ることができるように、鍵はかけないままで。

2 件のコメント:

  1. 「らんぶる」はrambleという英単語から、「逍遥する」「とりとめなくしゃべる」こと、もしくは「あてのない散歩」だと思っていました。このお店の名前をそう考えていました。琥珀は英単語ではamberなので、らんぶるというのはどこの言葉なのかな?あえてひらがな書きだから、いろんな解釈ができますね。
    私も琥珀が好きです。化石になっても、石のように硬質ではない。植物のやさしさ、体温がまだ感じられるような。
    なつかしい思い出にふさわしい、やさしい肌触りですね。

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  2. きつねのてぶくろ2011年10月15日 21:14

    ふたたび「らんぶる」について。
    「あんぶる」に定冠詞をつけたら「らんぶる」になるのはフランス語だったと気付き、調べてみたら、確かに琥珀はAmbreで、馬術の歩調のアンブルがAmbleです。どちらも男性名詞なので、L'ambreとL'ambleになりますね。
    日本語で外国語を表す場合、RとLの違いはないので、ラリルレロで表すと、どちらのつづりかわからない。
    私の飼っていた犬の歩き癖が、前脚後脚の両方右側が一緒に同方向に動き(つまり、人間なら右手と右足が同時に前に出る)、そのせいで歩行時に体が左右に随分揺れるのですが、近所の騎手から、「この犬はAmbleで歩くね」って言われて覚えた単語です。湖水地方に旅行したときもAmblesideという名前の小さな町に立ち寄りました。湖畔の真珠のような素敵な町でした。フランス語も英語も意味は同じです。
    でもRambleは私の仏日辞書では見つかりません。英語のRambleはぶらぶら歩くことだから、フランス語のAmbleが語源ではないかしら?

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