2011年10月1日土曜日

Stay or Go (行くか、とどまるか)?

10月1日(土)


小学生のころ愛読していた少女文学全集の中に、「風の子キャディー」という物語(残念ながら作者は覚えていない)がありました。

舞台は西部開拓時代のアメリカ、主人公のキャディーはティーンになるかならないかの女の子。両親、姉と兄、弟と二人の妹という家族に、ボストン育ちの従姉が絡み、このあたりは「大草原の小さな家」にちょっと似ていると言えるかもしれません。
物語は、南北戦争、インディアンとの対立と和解などの時代背景の中で、子供たちが成長し、家族が絆を深めていく姿を描いたものでした。
当時日本ではまだ、それほど一般的になっていなかったヴァレンタイン・カードを、子供たちが贈りあうシーンなどもあり、それが兄の初恋のエピソードにもなっていて、とても楽しんで読んだ本です。

物語の一番の山場は終盤に訪れます。

東部ボストンの親戚が亡くなり、一家に、お屋敷を含めた莫大な財産を受け取る権利が発生したのです。ただし、それには条件がありました。ボストンに戻って、そこで生活することです。
キャディーのお父さんは家族投票をすることにします。
兄弟六人と両親が、それぞれに、「STAY」の4文字か「GO」の2文字を書いて投票するのです。いちばん小さい妹まで、この6つの文字を教えてもらって投票に参加しました。

結果は「GO」は姉一人だけ。その姉も、「私も本当は行きたくなんてなかったんだわ!」とすぐ撤回します。

物語は、リンカーン暗殺のニュースのショックから一家が立ち直り、それでも「西」(=新しい場所・時代)に向かって生きていく決意を新たにするところで終わります。


人生の大きな岐路にいつも立ちはだかる永遠の問い「Stay or Go?」。
重要なのはどちらが正しいのかではなく、決断を下すこと自体なのでしょう。
なぜならこの物語でも、そのほかの多くの場合でも、「STAY」という決断はすなわち新しい「GO」でもあるからです。

0 件のコメント:

コメントを投稿